第3話 七瀬留美VSネロ=カオス〜乙女と獣と永遠と〜
「折原……」
そうして、七瀬は今日も公園で浩平を待ちつづける。
色あせたドレスを身に纏い。
「食え」
もう日もとおに暮れ、そろそろ帰ろうかと思ったときその声は聞こえた。
七瀬の背後に向かって駆ける三頭の黒犬。
しかし七瀬はその存在に気づかないのか、声がしたことも気にせずに立ち続ける。
まさに黒犬が七瀬に食いかからんとしたその時――――
「人が乙女してるときに邪魔しないでよぉぉおおおぉ!!」
七瀬は後ろに向かい拳を振るう。
その拳は三頭のどの黒犬にも当たっていないが――――その全てを拳風だけで吹き飛ばした。
「ふむ。魔術的な要素はないようだ。にも関わらず我が1素を退けるとはいささか不可解だが――――何、それも端末なことであろう」
「何を言ってるのかさっぱりわからないけれどわたしの邪魔をするなら容赦しないわよ」
「容赦しない、だと? その身を痴れ! 無能な人間めが!!」
ネロはいきなり志貴とのバトルのラスト状態に突入し、神話クラスの化け物を肉体から具現させながら七瀬に突っ込む。
「クッ!?」
大量の獣の攻撃をあびながら、何故かカスリ傷がついただけで吹き飛ぶ七瀬。
「クク。どうやら勝負あったようだな」
そして何故か相手が死んでいないのに満足気なネロ=カオス。
「なめないで! わたし、七瀬なのよ!」
(注)このセリフはオフィシャルではないが、作者の中ではもう半オフィシャルと化しているのでご容赦願いたい。
七瀬は傷をものともせずに(かすり傷)立ち上がり、そう吼えるなりネロ=カオスに向かい走る。
「これで、終わりだ! 脆弱な人間よ!!」
「わたしはただの人間じゃない! 乙女−せんし−なのよ!!」
七瀬とネロ=カオスの拳が交錯する。
「バカ―――な。この娘の一撃は大陸を吹き飛ばすほどの威力があるとでも……」
「乙女は勝つ!」
七瀬の拳が、ネロ=カオスの頬を捉えていた。
消えゆく意識の中でネロ=カオスはロアの呼び声を聞いた。
「混沌――――永遠はあります」
「それこそ我が命題。しかしいまやそれもかなわぬ」
「ここにあります」
「蛇―――」
「混沌」
「永遠の盟約――――か」
そしてロアとネロの唇が近づいていき―――――(自主規制
永遠に行ったまま帰ってこないネロ=カオス。
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