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うつほ つき 空の月 詳細ページ 空の月 オープニングストーリー
その日は遠野志貴の命日である
そうなる それはこの場にいあわせたものは皆理解している 乾有彦は志貴を見る しかし、二秒も見れない そのまとわりついた「死」に 彼の眼は耐えられない 遠野死貴は有彦を見る しかし、一秒も見れない 彼のいきすぎた魔眼は 彼の友人を、亀裂と穴だらけの見るに耐えない人形と化す 有彦は橙子から包帯を受け取る 志貴はアルクェドから包帯を受け取る どちらも呪詛がこめられた 通常の魔眼殺しをはるかに上回る代物だ こうして、ようやく３年ぶりに、彼らは対面することになった しかし、お互いの顔は見えない 許された時間は十五分 それから遠野志貴は死ににいく 愛するもののために 後悔はない 許された時間は１４分 そうして乾有彦は親友を失う けれど、迷いはない 思えば、遠野志貴にとって 乾有彦は日常そのものであった その彼を失ったあの日、志貴が遠野の家を後にするのは 自然な行動であったといえる 思えば乾有彦にとって 遠野志貴は日常そのものであった その彼を拒絶したあの日、 彼が乾の家を出て、「非日常」の世界へ旅立つ事は 自然な行動であったといえる アルクェイドは志貴を見る そこには笑顔があった アルクェイドの、久しくみることのなかった笑顔 本当に気を抜いた、自分に向けられる、どこか影のある笑みでなく 蒼崎橙子は有彦を見る そこには笑顔があった 橙子の見たことのない笑顔 彼は良く笑ったが それは、彼がいままで浮かべたどの笑顔とも違うように見えた 橙子は見る 遠野志貴の頬を流れる一筋の雫 アルクェイドは見る 有彦の眼から伝う涙を どちらも… 最早包帯を濡らし尽くして 溢れた涙・・・ そう、それは一筋などではなく・・・ たまりたまってあふれ出たものだった アルクェイドは知らない 橙子は知らない それが、志貴と有彦が、互いの前で初めて見せる涙であったことを そして、志貴は知らない 有彦は知らない そして想像すべくもない 彼の親友が今 自分の目の前で泣いていることを… 詳細ページ |